『カツカレーはカツ丼』近衛虚作氏のコメント(4月27日観劇)
後付けの公演を観るのは2回目ですが、今回も面白くてよかったです。
最初は京都学生演劇祭2017でした。そのときの感想はこちらに → https://kyoto-kstf.amebaownd.com/pages/1135946/page_201707190109
ひとつ付け加えると、知り合いが出演していない「後付け」はすごくオススメです。
知り合いが出演しててもいいけど、そうじゃない場合のほうがかなり楽しいのではないでしょうか。
最初に見たときは、「うわ、この人たち、これをどうやって稽古して舞台に上げたんだろう」と、底知れない恐怖すら感じたのですが、今回は薄れてしまいました。今回出演してた北川さん、川本さんの二人はこれまでに共演したり、私の脚本・演出で舞台に出てもらったりしたことがあって、ひととなりを知っているので。
ひととなりを知らない人たちがあれをやっていたら、「この人たち、日常生活まともに送れてるのだろうか」感がさらに増大すると思うんですよ。
今回、ひとつ不安だったのは、あっという間に変化しつくして、面白いとか面白くないとかいう次元じゃない変なところに迷いこんでしまうのではないか、ということだったのですが、そういうこともありませんでした。
コントとか短編芝居は、一般的にいかに早くルールを提示できるかにかかっていると思うのです。漫才でも導入がありますよね。
「俺、モテたいねん」
「ほな、ナンパしにいこうや」
「俺、ナンパとかしたことない」
「そんなもん練習したらええねん」
「練習したらできるようになるかな」
「おう。ほな、俺が手本、見したるし、お前、通行人やれや」
そうすると、「街でナンパする」というルールが示されて、そのなかで逸脱していくのを楽しめばいいんだなというふうに客は理解する。
後付けはルール提示のやり方がうまい。基本的に直接言及されることはないし、話の流れが異様であっても、出てくる語彙が異様ではない。登場人物がだいたいおかしいんだけど、日常に地続きでおかしい。地続きだから面白さの説明をするのが非常に面倒だし、一生懸命説明するのもバカみたいなので説明はしないですけど、「日常のなかに、ふとした面白い瞬間あるよね」というのがところどころに見えるのがやっぱいいのかなと思います。
ベタなコントを期待してる人にはオススメできないけど、日常のささいなことにいろいろ見いだせる系の人にはスッと入ってくるんじゃないでしょうか。
世代的には10歳以上も離れているので偉そうなことを言わせてもらうと、より年齢の高い人を巻き込んでやると、さらにヤバいことになるのでは。若さとかわかりやすい熱さとかがウリの団体ではまったくないので。「ベタなコントをやるための体」になってしまってる年上連中には気をつけて。
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